6、東市来町 東郷茂徳 元外務大臣4

鹿児島県議会平成6(1994.)年9月29日 第3回定例会(第6日目)上原一治個人質問議事録より


 ただいま土屋知事からホスピスへの理解を示していただき、また、ホスピスに関する窓口の設置が実現するという確かな答弁でございました。窓口ができるということは、その中に当然担当する方も設置するというふうに理解をいたします。このことは鹿児島県がホスピスヘ向けて大きな第一歩を踏み出した歴史的な出来事でありましょう。土屋佳照知事の終末期医療に対する認識のたまものであり、また、関係各課、職員の皆様方の深い御理解と御支援があったればこそと、感謝を申し上げます。ホスピスを考える会、会員一同、意を強くし、ますます活発な活動を広げていくことでありましょう。県内各地で今、この時も痛みに耐え病と闘っていらっしゃる方々、それを支えながら、悶々としていらっしゃる看護婦さんや医療関係者及び御家族のために、そして死を避けることのできない私たち、すべての県民のために少しでも早いホスピス的ケアの充実とホスピス建設を願いながら、私のホスピスに関する窓口の設置実現を要求する質問を終わらせていただきます。

 次の質問に入ります。

 東郷茂徳先生は私の郷里でもある東市来町の美山出身で大東亜戦争の開戦時と終戦時に外務大臣を務めた方であります。明治十五年十二月苗代川に生まれ、現在の美山小学校であります下伊集院村立尋常高等小学校、そして鹿児島県尋常中学校、第七高等学校造士館を経て東京大学文学部に入学、卒業後外務省に入り、欧米局長、欧亜局長を経て、昭和十二年ドイツの全権大使に任ぜられ、さらに同十六年には外務大臣に任ぜられたものの、大東亜省設置に反対して閣外に去り、そして二十年敗色濃い状況の中で、再び外務大臣に就任し、終戦工作に当たったものの、敗戦とともに極東国際軍事裁判所に起訴され、昭和二十三年十一月に禁錮二十年の刑を受け、昭和二十五年七月拘禁中米陸軍病院で六十七歳の生涯を閉じられたのであります。

 先生の人生を凝縮して表現するならば、大東亜戦争開戦当時において軍部への説得、日米関係改善のための日米交渉など、日米開戦回避のために入閣し、果ては敗色濃い昭和二十年再び入閣、その終結のために身命を捧げ本土が戦場になる前に大戦を終わらせ、我が国を救ったという実に大いなる業績であります。まさにその業績と人に対して畏敬の念を禁じ得ないのであります。

 先生の外交官としての基本政策は、国際信義、条約の集成、平和的紛争処理というものであり、獄中日本の将来を憂えて家族にあてた書簡に「余の願いは、恒久的平和の世界を建設するにあった」と記しております。

 この理念や思いは冷戦が終結したとはいえ、引き続き混迷を深め、歴史的変革期に特有の不安定な国際情勢のもとで、我が国がどのように対応していくべきかに示唆を与えるものでもあろうと考える次第であります。

 私は、先生の業績に心打たれた一人として、また、郷土が生んだ偉大な人物であると誇りに思う一人として、去る昭和六十一年第二回県議会定例会において、当時の鎌田知事に東郷茂徳先生に対する評価をお尋ねしたことがありますが、鎌田前知事も「鹿児島の生んだ偉大な概世家であり、平和のために尽くされた誇るべき郷土の先輩であり、敬愛してやまない」という御答弁でありました。

 さて、私が東郷茂徳先生について、縷々述べてまいりました真意を申し上げますと、実は先生の生家が美山に残されております。しかしながら、今は住む人とてなく、家は朽ち果て、白壁土蔵の屋根は落ち、ただ、昭和三十九年に建立された終戦時の内閣書記官長故迫水久常氏の手になる頌徳碑がその庭に立つのみであります。

 ちなみに碑の後ろに彫られた碑文は「終戦工作の主役を演じ、大業を完成し、国家と国民を救った」という言葉で結ばれております。そしてこの地は、先般東郷家から、東市来町に寄附されております。こうした由緒ある地に対して東市来町では、東郷邸の復元、庭の保全、修景等も含めた美山薩摩焼の里計画の策定に取りかかっており、その一部については、既存制度を活用して事業化を計画しているものもありますが、観光振興はもとより、青少年の育成、国際交流など各面にわたる機能を持つものとして、町と県とで勉強会も設けて検討が進められております。幸いに残されているこの生家を復元整備し、先生の経歴に触れられることは、今後の青少年の育成や、国際交流による相互理解を深めるためにも大きく貢献するものであり、また、計画されている薩摩焼総合記念館は薩摩焼の理解と伝承の拠点として、観光の振興という面にも寄与するものと考えます。

 そこでお尋ねいたしますが、町が総合的な観光拠点として、取り組んでいるこの美山薩摩焼の里計画の推進に対して、県は財政的支援を含め、バックアップをするべきだと私は考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。

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この記事へのコメント

薩摩の子
2007年05月20日 15:21
この文章は、県議会での個人質問であろうと思います。ですから当然、これに対して県知事がどのような答弁を行ったのか気になり、ぜひ読んでみたいと思います。それが無いのは文章として不親切なのではありませんか?
月と風
2007年05月21日 07:17
了解しました、軽佻浮薄文章問題あれば修正しますが。

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